社会貢献と人道的競争の実践へ(1)山積する問題群にどう立ち向かうか

「世界が、地球が悲鳴を上げている」――。

このような表現をよく耳にするようになった。

今やこうした言い回しが、決して大げさとは言うことはできないほどに、地球環境や世界の情勢はさまざまな難題の挑戦を受け、息絶え絶えの危機に陥ってしまっている。

*

対談「21世紀への対話」において、歴史家のアーノルド・トインビー氏は、対談が行われた1974年の時点で、次のような言葉を発している。

人類が人間以外の自然よりも優位に立って以来、今日ほど人類の生存が危ぶまれる時代はいまだかつてんかったということです。こうした人類の生存に対する脅威は、人類が自ら招いているものです。

氏の危惧から35年という時を経た今、残念ながらそれは杞憂に終わらることはなかった。

むしろ氏の歴史家としての慧眼の正しさを奇しくも証明することになっているのだ。

*

地球温暖化・気候変動、貧困、食糧、民族紛争、テロの脅威、少子・高齢化、教育の荒廃、政治不信、そして経済危機……。

山積する問題群を前に、なすすべくもなく、立ちすくむばかり――言い知れない無力感が私たちの意識を支配していると言っていい。

こうした不安の時代に、私たち信仰者は何を考え、何を行動すべきなのか。

それは言うまでもなく、私たちが奉じてる生命哲学の素晴らしさを未知の人々に語り、伝えていくことに違いない。

私たちはこうした布教運動を大きな柱とし、活動を続け、多くの共感と会員増という成果を果たしてきた。

根本は人間革命を軸とした広宣流布運動の推進をこれからも創価学会は続けていくべきだ。

*

一方、冒頭に挙げたような地球・世界規模の問題群は、急速な勢いで私たちの周囲に押し寄せ、具体的に私たち自身の日々の生活に大なり小なりの影響を与えていることを否定できない。

数々の地球的問題群を目の前にしながら、いつまでも看過しておくわけわけにはいかず、信仰者として果敢に問題の解決に具体的な行動をもって挑戦していかなければ、取り返しのつかない事態になってしまう。

ましてや価値創造という素晴らしい理念を名に冠する創価学会という団体に所属する私たちが、他人事のように拱手傍観しては絶対にならない。

*

一つの問題提起をしたい。

つまり、表題にも掲げたように、

「創価学会は社会貢献と人道的競争の実践としての具体的活動に乗り出す時が来た」

という提案だ。

折伏・弘教の活動に、もう一つの活動の柱を加えるという考え方だ。

そうした試みは既に海外SGIにおいて先行しており、成功を収めているのは、連日の聖教新聞の報道によって明らかだ。

*

これは2009年の「SGIの日」記念提言において、SGI会長によって宣言された、私たちへの行動の呼びかけであり、促しであることにほかならない。

世界同時不況から始まった経済危機が”拝金”という憂慮すべき傾向に引きずられた資本主義社会のゆがみを批判しつつ、SGI会長は、以下のように語る。

そこで私が、資本主義の袋小路を抜け出すための発想の転換というか、新たなパラダイム・シフトヘのヒントとして提唱したいのが、創価学会の牧口常三郎初代会長が、100年余り前に32歳で世に問うた『人生地理学』で提起した「人道的競争」という概念であります。

この「人道的競争」という概念については、SGI会長がこれまでもさまざまな機会に取り上げてきた一貫したテーマであり、私たちが志向すべき指針の一つであることは間違いない。