2008年3月アーカイブ

「新・人間革命」人間外交9より
 
青年と話す時、山本伸一の胸には、情熱が燃え盛った。

 自分の架けた橋を、自分の切り開いた道を、堅固にし、平和の大道をつくり上げてくれるのは青年たちだと思うと、声には力がこもった。

 「人には、さまざまな違いがある。多様である。しかし、その差異を超えた共通項がある。

 それは、皆がこの地球に住む、同じ人間であるということだ。そして、生老病死を見つめながら、誰もが幸福であることを願い、平和を望んで、懸命に生きているということだよ。

 その共通項に立てば、共有すべき"思想"に行き着くはずだ。

 それは、生命は尊厳なるものであり、誰にも生存の権利があるということだ。幸福になる権利があるということだ。だから、絶対に戦争を許してはならない。

 その生命の尊厳を裏付けているのが、一切衆生が、本来、仏であるという日蓮仏法の哲理だ。

 ゆえに戸田先生は、仏法者の立場から、地球民族主義を提唱され、原水爆禁止宣言を発表されたんだよ」

 伸一の対話の目的は、この人間としての共通項を確認し合い、平和への共感の調べを奏でることにあった。国境を超えて、生命の尊厳を守る人間のスクラムを築き上げることにあった。

 彼は人間の良心を信じていた。胸襟を開き、誠意をもって語り合えば、必ず理解し合い、共感、信頼し合えるというのが彼の確信であった。

 伸一は言葉をついだ。

 「人間には、国家の利害や立場をはじめ、さまざまなしがらみがある。

 それを超えて、人間としての普遍的な価値のために立ち上がってもらえるのか。また不信を信頼に変えさせうるのか――という生命の啓発作業が対話ともいえる。

 だから対話には、忍耐、粘り強さ、英知、確信が求められる。

 また対話を通して、人格や思想、信念に触れ、新しい知識や智慧、発想などを吸収することもできる。対話は人間を高める直道なんだよ」

 ――「精神を鍛錬する最も有効で自然な方法は、私の考えでは、話し合うことであると思う」

 これはフランスの思想家モンテーニュの卓見である。



湖南科技大学名誉教授称号授与式での池田名誉会長の謝辞より抜粋

「天下の改革は教育による人材育成によってこそ成し遂げれる」――これが、貴大学の淵源となる教育の学府を湘潭の地に設立された、11世紀の宋代の大指導者・范仲淹先生の信念でありました。

「根深ければ枝しげし 源遠ければ流れ長し」との天台大師の金言のごとく、1000年の歴史を貫いて、湘潭の学舎には、世を治め人民の苦しみを救わんとする「経世済民」の精神が漲り、それでまた、学問を現実社会に役立てていく「学以致用」の哲学が脈打っております。

貴大学の高邁なる校訓には、「唯実維新、至誠致志」と、力強く謳われております。

「唯実」――徹して事実に即して真理を探究する。

「維新」――絶えず創新を求める。

「至誠」――人格を高め、誠心誠意を尽くす。

「致志」――高き志を掲げ、全身全霊を注ぐ。

この4項目に、まさしく新しき時代を開きゆく人間教育の真髄が凝結していると感嘆するのは、私一人ではないでありましょう。

田学長は、昨年の入学式において、この校訓を踏まえつつ、希望に燃える新入生に、三つの明確な指針を贈られました。

「不断に人格を培い、正しき人間たることを学べ」

「受け身でなく、自ら学ぶことを学べ」

「自主独立の人生を生きゆくことを学べ」

という重要な3点であります。

何を学ぶのか。いかに学ぶのか。そして、何のために学ぶのか。

この学究の根本命題というべき「大いなる問い」を深く掘り下げつつ、「教育の世紀」の新たな指標を確立しておられる模範の存在こそ、貴大学であり、そして田学長であられると、私たちは心からの尊敬と共鳴を表したいと思うのであります。

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